ラインケア第4回は「心理的安全性」を取り上げたいと思います。
職場においてラインケアが機能するためには、「心理的安全性」のある職場づくりが欠かせません。「心理的安全性」のある職場とは、一人一人が上司や同僚に対して率直に意見や質問ができ、相談しても安全だと感じられる状況のことです。それは、なれ合いやゆるい職場を意味するのではなく、組織の目的、目標の実現に向かって上司と部下、職場メンバー間の協力をより強くし、チーム学習を促し、健康で生産性の高い組織を作ることなのです。
このような職場では、ハラスメントや人間関係などのストレス要因を起因としたメンタルヘルス不調者の発現は極めて低いとされています。
「心理的安全性のつくりかた」(石井遼介著)によれば、職場において心理的安全な雰囲気を作るには4つの因子が必要とされています。
1.話しやすさ、2.助け合い、3.挑戦、4.新奇歓迎の4つです。
この4つの因子を職場で実現するには、上司の柔軟性のある思考や行動が前提になります。
柔軟性のある思考や行動とは、仕事上の問題などで困難に直面した時に、変えられないもの、変えられるものを客観的に見極め、変えられない現実を受け入れたうえで前向きな思考を持つことです。そのうえで変えられるものにフォーカスし、行動することです。
これは、前回アンガーマネジメントでご紹介した内容と同じですね。思い出していただけましたか。
次に心理的安全性を実現するための効果的な方法として「感謝する」ことがあげられます。
普段職場では部下に対して感謝の言葉をかけることはなかなかできていないのではないのでしょうか。しかし、お互いしてくれたことに感謝の言葉をかけることは実に自然なことです。感謝の言葉をかけられた部下はモチベーションが上がりますよね。
そして感謝を伝える場面では、いつ、どのような状況で、相手が何をしてくれたのか、自分にとって何が助かったのかを実際に伝えることが必要です。対面はもちろんチャットやメールでももちろんいいですね。また、何かを指摘された時も「ありがとう」を使うことで関係が活性化します。
以上のことから心理的安全性のある職場を実現するために上司は次のことを職場で実践してみましょう。
- 「率直にモノが言える職場」を目指しましょう
- 「率直にモノが言える職場の雰囲気」を作りましょう
- 自己の柔軟性を育みましょう。
- まずは「感謝」を伝えてみましょう。
心理的安全性のある職場自体が結果として質の高いラインケアであり、ユーストレスな人間関係や生産性の高い職場づくりにつながるのです。